帰国子女の英語力はどのくらい早く落ちるか

「帰国してから英語が落ちてきた気がする」——帰国子女を持つ保護者の方からよく聞く言葉です。この感覚は正確です。英語力の低下は現実に起き、しかも思ったより早く進みます。この記事では、英語力低下のメカニズムと、どの能力がどのくらいの速さで失われるかを整理します。

英語力低下はなぜ起きるか

言語習得の研究では、使用されない言語は「attrition(摩耗)」と呼ばれるプロセスで失われることが示されています。子どもの場合、成人よりも言語習得が速い一方で、使わなくなったときの喪失も速い傾向があります。日本に帰国した子どもは、学校・友人・家庭のほぼすべての時間を日本語で過ごすことになります。英語に触れる機会がゼロに近づけば、低下は不可避です。

失われやすい能力と失われにくい能力

すべての英語能力が同じ速さで低下するわけではありません。研究と現場での観察から、以下のパターンが見えています。

失われやすいもの(1〜2年で顕著な低下)

  • アカデミック語彙:学校の教科で使われる語彙(科学・社会・文学など)は日常会話に出てこないため、急速に失われます
  • ライティングの正確さ:スペル・文法・句読点の精度は、書く練習がなければ低下します
  • リーディング速度と理解力:学年相当のテキストを読む力は、読む習慣がなければ後退します

比較的保たれやすいもの

  • 基本的な会話力:日常的なやりとりに必要な語彙と表現は残りやすい
  • 発音とイントネーション:幼少期に習得した音体系は長く保たれる傾向があります
  • リスニングの理解力:映画や音楽など受動的な英語接触があれば維持されやすい

「英語で話せる」と「英語で学べる」は別物

帰国後も日常会話はできる、という状態は珍しくありません。しかし数年後に英語圏の学校に戻った際や、IELTSを受験する際に、学業レベルの英語力が大きく落ちていることに気づくケースが多くあります。会話力と学習言語能力(Cognitive Academic Language Proficiency)は、習得にも保持にも異なる条件が必要です。

低下を防ぐために何が必要か

研究と実践の両面から言えることは、週に少なくとも2〜3時間、学年相当の英語テキストに接触し続けることが英語力維持の最低ラインだということです。映画やゲームだけでは不十分で、読む・書く・考えることを英語で続けることが必要です。

Wren Englishの帰国子女クラスは、この目的のために設計されています。毎週土曜日150分、ネイティブレベルの教材でリーディングとライティングを継続します。詳細は帰国子女クラスのページをご覧ください。